生き方が雑

何者かに為れるかと思ったこともあったけど、ただ平凡にごくごく普通に生きていくガール()の日々をつらつらと書いていきます。サラリーマン。食べ歩きが好き。毎日それなりに楽しく生きてます。

映画『怒り』 演技が文字を凌駕するという体験

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映画『怒り』公式サイト

 

JALの機関誌で、吉田修一氏がコラムを書いていることご存知でしょうか。

多分2016年8月号か9月号で、著書の映画化について触れられており、そこでこの映画にはじめて興味を持ちました。

 

∇当時のTweeet ※訳あって鍵垢のため画像で…

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こんなことを書いておりますが、普通に話が面白い。えぐられる。サスペンスとしても良質だけれども、心のやらかいところを抉ってくるような内容なんです。久々に面白い小説に出合ってしまった!!という感じで眠る時間も惜しんで読み進めました。

 

そして映画の公開を迎え、中々見に行く機会もなかったのですが、ようやく行ってまいりました。

同僚女子と二人で行ったのですが…これがもう最高。女子二人で途中泣きながらの鑑賞でした。終わったあとも終電まで語りあかし、心が揺さぶられすぎた結果、自分たちの生い立ちを語り合うという熱い展開でした。

 

その熱い気持ちを引きずったままのTweet。

 

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本当にこの李相日という監督の辣乱ぶりに震えることしかできませんでした。

森山未来の抱える、世の中への『怒り』。妻夫木聡宮崎あおいの、相手を信じきれ根かった自分への『怒り』。そして、広瀬すずのやりきれない『怒り』。

最後のシーンが、青空の下、上を向いての咆哮だったからこそ、そのやりきれない怒りが外に向いていて、いつか昇華できるのではないかという救いにも似た感情を抱くことができました。

 

吉田修一氏と渡辺謙さんのインタビューでこんなことが書かれていました。

渡辺:その時に、「洋平には、千葉編の愛子と田代の物語だけでなく、東京編の優馬と直人(綾野剛)の物語、沖縄編の泉(広瀬すず)と辰哉(佐久本宝)、田中(森山未來)の物語、その全てを最後の最後で受け止めてほしいんです」とおっしゃっていただいて。その時ね、いろんなことがはっきりしたし、的が見えてきたんです。これは僕だけの物語じゃないんだ。3つの純愛、血だらけの3つの物語を受け止めなくちゃいけないんだと。

【インタビュー】渡辺謙×吉田修一 作家が産み落とした『怒り』と俳優が受け止め、体現した『怒り』 | cinemacafe.net

鑑賞後にこの文章を読んで、直前の宮崎あおいがまっすぐ視聴者を見つめるシーンが腑に落ちた気がしました。 

これは、2016年My邦画No1にせざるを得ない。そんな名作でした。