熊本出張でサラリーマンが被災した話 その1
はじめに
普段は東京で働いている私ですが、仕事で月1~2回程度は必ず熊本に出張しています。
そんな私が、前震及び本震を被災した話。
そして、そこから得た<旅人が被災したとき>の教訓を備忘録がてら書き連ねていきます。私はあくまで「旅人」として被災をしました。
実際に現地に生活する人にとって不快な表現があるかもしれませんが、ご容赦ください。
14日夜
21:26 LAVAの対応力
出張中にも関わらず、わざわざLAVAでヨガを嗜んでいたところ、突然ドカンと揺れがありました。体感としてはあまり長くなく、ひたすら縦に大きな衝撃。
瞬時に、尋常じゃない揺れだということをその場に居た全員が悟りました。
ただ、私自身はまだ楽観的な気持ちで「3.11ほどのやばさじゃない」そんなことを思っていたのですが、中には<やばさを感じておろおろする女子>もおり、軽く泣いている子もいたと思います。
ヨガインストラクターさんは、即座に「ドアをあけます。まずは外に出てください」と判断してくださり、貴重品を持ってロビーまで出るよう指示をしていたのですが、その直後に「皆様、着替えて荷物を持って外に出てください。本日は安全面を考えて解散です」と変更が入りました。
一度ヨガウェアで外に出された時は、タオルを貸してくれるなどの心遣いがあり、また解散の旨を伝えた時も「怖かったですよね」とお気遣いがありました。スタッフさんも20代後半から30代前半くらいの若い女性にも関わらず、サービス業という立場をしっかりと全うしてくださって、その咄嗟の対応力に軽く感動を覚えました。
21:40 震度7
とりあえずホテルに帰って、同僚3名と合流しなくては…
そんな思いで同僚の無事を確認するためにLINEを見たら、
A<ギャアア!大地震
B<ビビった…震度7。熊本
C<大丈夫ですか?
D <えっまじ?
B<信号もついてる、大丈夫
C<えええ!テレビみてる
A<すっごい揺れた 人生最大
B<お店の水槽が水あふれて水浸し
※A・Bは熊本出張中、C・Dは東京
街中は途中で看板が落ちたり、ディスプレイが崩れたりしている店はありましたが、大きな被害はないように見受けられました。
絶え間ない余震(推定震度4程度)はあるものの、「現地に居ない同僚たちに、臨場感のある写メを送ろう」くらいの面白がる気持ちで危機感もなくブラブラ街を歩いていたところ、先輩Mと合流ができ、キャアキャア言いながらやばいねやばいねと言いながらホテルに向かったところ。
ホテルの前にガラスが散らばっており、壁がはがれている
あれ?これ思いのほかまずくない?
はじめてここで危機感を覚えました。今すぐ中に入れる雰囲気ではなかったこと、まだ夕飯を済ませていなかったこともあり、サラダチキンを求めて一度コンビニに行くことにしました。
ワインが倒れて、ガラスと中身がばらまかれている
あれ?これ思いのほかまずくない?
立ち込めるワインの匂いにむせかえりながら、急速に増す危機感。サラダチキンと一応水をゲットしてコンビニを出たところで、もう一人の同僚Iと合流しました。なぜかホテルの甚平にスリッパ。
なんでも洗濯途中だったとか…不運だが風呂じゃなかっただけマシかな、という下を見るスタイル。
ちょっとしたらホテルに戻ろうか~なんて話をしていたのですが、ここら辺から震度6の余震がガンガンきはじめました。
口でも会話しながらなぜかLINEにも実況というスタイル…
A<今恐ろしいほどの余震 (22:07)
<路上でもわかった<ギャアアアア
自<今のヤバい
ガラスが散らばっていたり、電信柱が揺れていたりする光景に臆して、ホテルほど近くにある辛島公園に避難することにしました。
※普段の辛島公園
22:19 熊本大震災決定
東京にいる同僚より「官房長官が記者会見を行い、速やかに被害状況確認し、緊急対策本部を立ち上げる。熊本大震災とする」と連絡が入り、熊本の我々は震撼。
ここで思い知るのが、渦中にいることの情報量の少なさ。
正直WEBから正しい情報を拾い上げている余裕もなく、テレビを観ることもできない。いったい自分たちはどんな状況下にいるのだろうか…徐々に不安が募ります。
このあたりで震度6や5の余震がガンガン来ているため、震度4の余震ではそこまでの焦りを感じなくなってきます。
ちなみにこのころ、帯山のコンビニで自衛隊員が水を買い占めていくのが確認されていますw
22:52 ホテルから追い出される
がっつり入ったヒビ、そして出入り口の植木の状態を見るに泊まれる状態ではない…それは分かっていたものの
「中に入ることはできません。本日は宿泊はできませんので、近所の小学校へ避難してください」と。
余震もあるし、倒壊の危険もあるので逃げるようにと言われるものの…
荷物は!?
いや、有事の際は荷物とか言っている場合ではないのは分かるのですが。仕事用具もあれば生活用品まで1週間分の荷物全てがスーツケースに入っています。
荷物を中においてきてしまった方も多く、やはり色んな方がフロントに質問しており、最終的には「フロアごとに取りに行く」こととなりました。
23:20 街中からちょっと避難しよう
車に乗って移動してた、同じく出張中の同僚から「泊まれなくなったのなら、しっかりベッドで眠るためにも車で1時間くらいの距離を限度に移動しよう」という提案があり、必死で探したところ<荒尾>という地域のホテルを確保することができました。
ちなみに、もっと手前のエリアで営業ができる箇所は既に埋まっておりました…。
車も到着し、「フロアごとに取りに行く」荷物を待っていたのですが、中々順番が回ってこず、ようやく我々の階になり、非常階段にいたタイミングで最大の余震だと思われる震度6弱が発生。
生きた心地がせず…!さすがに心臓が痛い状態となってまいりました。
ちなみに宿泊していたのは、出張の際の定宿にしているココなんですが、対応が素晴らしかったです。
・ロビー及び食堂を解放し、毛布を配布
・水とカップ麺を配布
ホテルマンの方々だけでなく、食堂の方までフルで稼働して気遣ってくれて、本当にサービス業の方々に頭が下がるなと思いました。
0:20 街が機能してるって素晴らしいな
全員が荷物を回収し、ようやく出発できる状態に。
自分たちが元々乗っていた車は、ホテル併設の回転式EV駐車場に停めていたのですが、地震の影響で故障が確認されたらしく、出すことは叶わなかったため、一度置いていく旨をお伝えし、<荒尾>へと向かいました。
本当に幸いだったなと思ったことがひとつ。
街中の殆どで停電していなかったので、信号など都市機能が損なわれておらず、車などの通行に混乱が見られませんでした。一部停電している箇所については、警察の方が手旗信号で交通整理をされていました。
もし全域で停電していて、真っ暗な街で信号もつかない状態だったとしたらぞっとしません。
1:30 荒尾に到着
荒尾に到着すると、街中の喧騒は嘘のようで落ち着いていました。
地震の影響もあったようですが、揺れも大きくなく被害はないとのこと。同じ県内ですが、福岡との県境まで来るとやはり結構違うみたいです。
そして、そのまま泥のように眠りました…
その2に続く